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トランプ大統領が訪れた故宮の宝蘊楼 百年の歴史誇る西洋風建築物

2017-11-10 人民網日本語版 人民网日文版

 習近平国家主席の招待に応じ、米国のトランプ大統領が11月8日から10日までの日程で、中国を公式訪問する。8日午後、習主席と彭麗媛夫人は故宮博物院でトランプ大統領とメラニア夫人を出迎え、両国首脳と夫人たちは故宮博物院内にある宝蘊楼で中国茶を味わった。百年の歴史を誇る宝蘊楼は、中国の外交を目の当たりにした「新たな宝」となった。

 日が落ちて夕焼けの残照に映える故宮は、威風堂々とした赤壁に緑の瓦が美しさだけでなく、一種柔らかな雰囲気を添えている。西華門から入ると、ほど近い場所に木煉瓦構造の建築物が建っている。これが宝蘊楼。故宮の中で唯一現存する西洋風建築として、その独特な建築スタイルは故宮内の他の建築物とは大きく異なり、そのコントラストがひときわ際立っている。


名前の由来は、23万点にものぼる文化財から

 宝蘊楼はその名のとおり、「宝」と深い関係がある。

紹介によれば、1911年に辛亥革命が成功し、清朝が滅びると、北洋政府が清朝の宮殿を没収して管理した。1913年初頭、北洋政府は瀋陽故宮と河北承徳避暑山荘に保存されていた文化財を全て北京に移送することを決定。しかし、当時の北京には文化財をしっかりと保管できるような場所が足りなかった為、故宮の咸安宮跡に倉庫を建て、そこに国宝を保管することを臨時決定した。史料の記載によると、宝蘊楼は1915年に完成し、3150箱、約23万点の文化財が保管された。保管された文化財の大部分は金や宝玉、珍しい書物といった途方もない価値の宝物であったことから、倉庫を「宝蘊楼」と名づけたのだという。

故宮内で唯一現存する西洋風建築物

中国の伝統的な古くからの建築物が数多く存在する故宮の中で、宝蘊楼は確かに非常に独特な建築スタイルとなっている。宝蘊楼は西洋の建築様式に従って設計・建造された建築物で、木煉瓦構造による北と東、西の3つの単独の建物から構成されている。周辺を取り囲むような配置で、咸安宮跡をめぐるように北と東、西の三面が建てられ、咸安門で完全に取り囲み、密閉された空間を形成している。その建築面積は1646.9平方メートルにも及ぶ。

3つの単独の建物はいずれも煉瓦作りの壁を採用しており、壁にセメントを塗った上に赤の液体で塗装されている。窓は狭くて長く、窓枠を全て白で統一することで、壁の赤と窓枠の白が美しいコントラストをなしている。北側の建物は主楼で、その中央には階段が設けられており、両側にはそれぞれ西洋風の柱状の展示ケースが4つずつ設置されている。ケースに展示されている展示品のほとんどが民国時期の重要文化財だ。

3つの建物はいずれも二階建てとなっており、その建築面積の大きさだけでなく、外観デザインも非常にユニーク。東側の建物と西側の建物は左右対称となっており、補助施設の役割も果たしている。主楼と東西の建物を結ぶ廊下は、欄干と柱が白で統一されており、吹き抜けの廊下となっている。

修繕工事は「昔の状態そのままに修復する」ことを原則に

 長年にわたり、文化財の倉庫として使用されてきた宝蘊楼は、瓦葺きの屋根から柱などの構造、室内や外壁の装飾、中庭の地表に至るまで、それぞれ異なるレベルでの破損が生じていた。2013年に故宮博物院が宝蘊楼を調査した結果、建物の構造自体は特に問題がないものの、雨漏れや外壁の損傷、屋根が部分的に腐ってしまっているといった問題の存在が確認されたため、2013年末から、修繕工事が開始された。

修繕工事開始当時、故宮博物院の単院長は、「修繕は『昔の状態そのままに修復する』ことを原則とし、可能な限り、同じ技法と技術を用い、本来の構造を保つだけでなく、修繕後も修繕前と同じ様式を保つようにする」としていた。

2015年、宝蘊楼は建設から百周年を迎え、修繕工事も無事竣工した。その役割は文化財の倉庫から展示館に変わり、宝蘊楼では主に「故宮博物院院史陳列」というテーマで、民国時期における故宮の歴史の変遷を展示している。また、定期的に一般の人々にも開放されている。

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